アナロジーとは
アナロジーの概念をつかもう
アナロジーの説明を辞書的な言い方で言うと
「2つの事物や概念の間の類似性や関連性を強調するために使用される比喩的な手法」です
…は?
もっとわかりやすく自分風に言うと言うと
自分の今までの経験・知識を生かして物事を簡単に理解することです
ということです
…は?
…はい。わかりにくいですよね。言葉では難しいのでアナロジーを使用している例を紹介します。
例1 物理学
物理学ではしばしばアナロジーを用いることがあります。特に目には見えない電気という概念を習得するのに有名なのが水に例えることです。
電圧は水の高さに例えられ電流は水の流れ、抵抗は水の通り道の太さになります。
他にも人混みにも例えられることがあります
電圧は人の多さ、電流は人の流れ、抵抗は通路の太さです。
正直、人混みのほうはあまり良いアナロジーとは言えませんがとっかかりを作る分には十分な働きをしてくれます。
このように、電気というわかりにくい概念を水や人混みという身近で分かりやすいもので例えることによって理解度を促進させることができます。
例2 魔法学
みなさんは某魔法映画の浮遊呪文を学んでいるシーンを覚えていますでしょうか。
ウィンガーディアムレヴィオーサ
これの手首の動きを覚える際にフリットウィック先生はこう言っていました
Swish and flick(ひゅーん、ひょい)
まだ幼い子供たちに手首の動きを覚えさせるために、普段使っている言葉に動きのイメージを付与してサポートさせていました。これも個人的には立派なアナロジーです。
この例だとまだわかりにくいので次の例で詳しく解説します。
例3 スポーツ
スポーツをしているときに、壁にぶつかったことはあるでしょうか。その壁を乗り越える瞬間にはアナロジーが使われていることがあります。
子供のころ多くの人は鬼ごっこやドッチボールなど体を動かしていいたと思います。その時は、特に何も考えずにひたすらに全力で走って全力で球を投げていたと思います。
そして、中学や高校に上がると部活を始めます。球技をやっていた方はわかりやすいのですが、鬼ごっこやドッチボールと違い想像していることが実現できなくなってきます。それは求められる技術が高くなり脳死でできなくなるからです。
そこで、ひたすらに反復練習して習得する人がほとんどですが、人生の経験値が豊富なほどアナロジーで乗り越えられる確率が上がります。
例えば、サッカーで回転シュートがうまく打てない子が体育の時間に野球のピッチャーをしてボールへの回転のかけ方をイメージすることができ回転シュートがうまくなった、というのがあります。
人にはそれぞれ感覚というものがありそれは千差万別です。足ではつかめなかった感覚がボールを手に持ち足よりも器用に動かせる指を用いてボールを回転させることによって、ボールへの回転のかけ方のイメージをつかむことができたのです。
その野球でできた回転のイメージをサッカーに応用する。
これも立派なアナロジーです。
少し難しい話ですが、このようなアナロジーは知ったからすぐにつかいことはできません。今回の例の話も、野球ボールの回転をサッカーに応用しましたが、前提として野球ボールをサッカーボールに落とし込めるほどにサッカーボールの扱いに慣れていないとできないです。また、ボールの回転においてもサッカーボールで試行を重ねたからこそ野球ボールを投げるときに上手く回転をかけることができ、その感覚をサッカーボールに応用ができたなど卵が先か鳥が先かみたいなところもあります。
アナロジーは自分の感覚と難しい概念の橋渡しサポート道具
アナロジーは辞書的に「2つの事物や概念の間の類似性や関連性を強調するために使用される比喩的な手法」といったように例1,3のような使われ方が主です。しかし、私は例2のような(ボケたかっただけの例題ですが…)ものもアナロジーを使用していると思っています。
辞書的な使い方である例1と3はそれぞれ類似性を用いてアナロジーを使っています。電気と水、人混みは端的に言ってしまえば数の集合体という類似点があります。電気は電子、水はH2O、人混みは人の集合体といった点です。その数の集合体という類似点を用いてその数の動きのイメージをアナロジーによって簡潔にしたのです。
しかし、人と電子はあまりにも大きさや構造が違うため動きのアナロジーは正確なものとは言いにくいです。それに対し、水は大きさも無生物という点でも人混みよりも電子に近く優秀だといえます。
例3はボールに回転をかけるという共通点を用いています。ここでは、足ではつかむことのできなかった感覚を手と野球ボールを用いて習得しその感覚をサッカーボールに応用をしました。この行為自体がアナロジーです。
さて、ここで本命の例2ですがこれは2つの事柄や概念の類似性を用いたわけではありません。では、何をしているのかというとウィンガーディアムレヴィオーサという呪文の手首の動きを習得するために言葉という自分の既に習得している概念を使ってサポートをしているのです。
アナロジーとは自分風に言うと自分の今までの経験・知識を生かして物事を簡単に理解すること、と説明しました。
今回の例でいうと、手首の動きをswish and flick(ひゅーん、ひょい)という言葉によるイメージ(最初ふわふわさせといて最後に手首を締める感じ)をつけることによって習得難易度を下げています。
例1,3も本質的には同じです。例1は電気というわかりにくい概念を水、人混みというすでに理解している概念を用いて習得難易度を下げ、例3は野球ボールによって習得したボールへの回転のかけ方の感覚をサッカーボールに応用して習得難易度をさげているのです。
このように、例1~3はどれも本質的には同じことを行っており、自分がすでに持っている感覚や知識、経験を応用して新しく習得する物事に対して習得難易度を低くしているのです。
これこそが、アナロジーの本質的な意味だと私は考えています。
正直、ここまで汎用性が高い意味にしてしまうと誰しもが使っているし説明しても意味がないように感じてしまいますが、この行為に対して”アナロジー“という固有名詞を定義させることによってこの道具を使いこなせる回数は飛躍的に上がります。
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